2016年4月14日、熊本県で震度7を観測する地震が発生しました。16日未明には再び熊本・大分で震度6~7(熊本県西原村と益城町で震度7、大分県由布市と別府市で震度6弱)の地震が発生し、多数の死傷者が出る大災害となったのは周知の事実です。現在(2016年4月28日)までに余震は1,000回を超えていますが、3万人以上の方が未だ避難生活を送り、ようやく復旧へと動き始めている段階でしかありません。
被害のなかった地域からすると、日本で起こった一災害かもしれませんが、地震はいつ起きるか分かりません。当然フリーランスであろうと、常に災害に巻き込まれるリスクはあります。被災された熊本・大分在住のフリーランスの方も多数いるのではないかと思われますが、私自身はやはり災害への備えが必要だとニュースを通じて感じました。決して人ごとではありません。
フリーランスに求められるリスクマネジメント
今回の熊本地震、そして数年前の東日本大震災と、日本は数年に1度のケースで大規模な災害が発生しています。企業には災害時の危機管理(災害後の対応)、そしてリスクマネジメント(備え)が求められますが、フリーランスにとってもリスクマネジメントは重要です。
自宅はもちろん、レンタルオフィスやコワーキングスペースで地震が起こったら?もし仕事中だったらどう対応すべきでしょう?
ならば、今からでも備えておくべきだと思います。企業と違ってリスク管理マニュアルも存在せず、災害時の対応も自己責任のフリーランス。何を備えるべきでしょうか。
主観が多く入りますが、災害時へ備えるためのリスクマネジメントを考えてみたいと思います。ポイントは”分散”です。
連絡先をリストにする
複数のクライアントと取引のある方も多いと思います。私も複数のクライアントから仕事を受注していますが、連絡先は全て把握していません。なので連絡先の一覧を作成しました。
人間の記憶というのは曖昧で、全てのクライアントの連絡先を記憶することは難しいと思います。例えばメアドなんて、大文字小文字や1文字違うだけで相手に届きません。
端末のアドレス帳に保存してあっても、災害で壊れてしまったら意味ありませんよね。それにネットが使えないとメールも送信できませんから、極力電話など別の連絡先の確保も必要です。
一番簡単な方法はエクセルで作ること。表で一覧を作成し、プリントアウト&オンラインストレージに保存しておきましょう。
例えばこんな風に。連絡先などが分かればOKです。作成が面倒な方は以下のエクセルファイルをお使いください。実用性は低いかな?…使用・転載・改変全てご自由にどうぞ。
ID・パスワードの管理
クライアントの受発注管理、クラウドソーシングなど、ネットを使って連絡から納品までやり取りするケースも少なくありません。しかし、IDやパスワードをブラウザのCookieに保存したままでは、災害での端末破損時、別の端末利用時に分からなくなるおそれがあります。ログインできなくなったらお手上げですね。
クライアントの連絡先同様に、エクセルなどで一覧を作っておくと安心です。ただし、外部に漏洩すると大変なことになるので管理は厳重に。USBメモリやSDカードへバックアップを取る際も、紛失には気を付けましょう。
仕事のデータを分散する
被災すると、制作途中の案件に構っている時間はありません。まずは自分の身の安全を確保し、とにかく安全な場所への避難が求められます。
が、一通り落ち着いてから仕事を再開した時、データが一式無くなってしまうと仕事もできないし、一からやり直しです。2~3日に1回でもいいので、データのバックアップは取っておきましょう。
ちなみにバックアップですが、災害の有無に関わらず重要です。平常時でもなるべく忘れずに。納品直前にデータが消えたりでもしたら…笑えませんね…。
おすすめはやはりオンラインストレージでしょうか。たとえパソコンやスマホが駄目になっても、別の端末でデータを取り込めます。USBメモリなどは被災時・震災時に紛失する可能性が高いです。
ただし、データ容量が大きいとアップロードが大変だし、容量制限を超えるおそれもあります。ZIPやLZHでの圧縮が定番ですが、アーカイバ(解凍ソフト)が無いと開けない可能性がありますから、自動解凍形式(.exe)とZIP・LZHの2種類のバックアップを取るのがおすすめです。
複数の通信手段を確保
フリーランスは、今やネットを介して依頼から納品までこなすのが当たり前の時代です。逆に言えば、ネットが使えないと依頼も連絡も、まして納品もできない状況におちいります。
メールで連絡したいのにネットが使えないとあっては、どうしようも無い訳ですね。早い段階でクライアントと連絡できるに越したことはありません。
災害時は通信回線も数日間は混雑します。基地局が駄目になることも考えれます。しかし、キャリアによって復旧スピード、混雑状態に差が出てくるため、複数のネットの手段の確保すべきと考えます。
特に固定回線(光やADSL)オンリーの方はたいへん危険。自宅やレンタルスペースが駄目になったら復旧に相当の時間が必要です。
公衆無線LANは被災するリスクがありますが、熊本地震のように、一時的に無料開放される場合もあるため、非常時には利用しましょう。
それ意外で考えられるのはモバイル回線ですが、毎月の通信費の増加がネックです。災害時やメインの通信手段が駄目になった時に備えるなら、月数百円の格安SIMも候補になりますね。
うちはWimax(@nifty-メイン回線)とDMM mobile(ドコモ回線)ですが、mineo(au回線)も検討中です。事業用なら経費に計上できます。
でもでも、災害時は1つの回線が混雑したら別も混雑しますよね。なので固定+モバイル(無線LANルータ)とか、モバイル二刀流(別々の回線業者)が良いかな、と考えています。
必要な機器をリストアップと代用品の検討
デスクトップにノートPC、スマホにタブレットにポメラ(私の場合)、そしてプリンタやスキャナ。フリーランスが仕事をするには機器がいろいろ必要です。
被災すると仕事ができる環境も限られる訳ですが、最低限必要な機器・ソフトウェアをリストにしておきましょう。揃えられるかはともかく、不足すると仕事を始める際に支障が出るおそれもあります。
例えばデスクトップの代わりにノートPC、ライターの方ならタブレット(スマホ)+無線キーボードなど、仕事をするための機器や環境はある程度代用できます。作業効率は落ちますが、Windowsのオフィスの代わりにPolaris Office(android)、MS WordやExcel(同)を導入するのもあり。
例えばこういう代用ソフトを使うのもいいです。
Photoshop(フォトショ)の代用品
- GIMP
- googleフォト(旧Picasa)
- Pict Bear
- Pic Monkey
- Seashome(※Mac)
Illustrator(イラレ)代用品
オフィス系の代用品
- OpenOffice(PC)
- Libre Office(PC)
- Poraris Office(クロスプラットフォーム)
- androidのMS WordやExcelアプリ
テキストエディタの代用品(無料版のみ)
完全互換・対応とは限りませんが、こうした代用品で作業できる環境があることも把握しておきましょう。
バッテリー・充電器・電池の確保
パソコンやタブレットで仕事できる環境が整っても、電源がなければ使えませんよね。バッテリーを充電するための充電器が欠かせません。しかし、使い捨て充電器は経年劣化する可能性もありますから、電池式の充電器をキープしましょう。
電池も忘れずに。eneloopのように、充電して使えるものが災害向きかもしれません。
リスクを分散させること
地震などの災害が起きたら、何より身の安全の確保が第一です。しかし、被災したことをクライアントに連絡しなければ、バックレたと思われてしまうリスクがあります。例えばクラウドソーシングとか、匿名でのやりとりや当たり前のサービスでは特に注意しましょう。連絡先とID/パスワードは忘れずに。
まずはライアントへの連絡、落ち着いたら仕事再開という流れになると思います。でもデータやパソコンが無いと仕事できません。事前にオンラインストレージへアップするなりバックアップを取るなりの対処が必要になります。
フリーランスが災害へ備えるには、何よりリスクの分散が重要です。地震が起きて全てを失う可能性もありますから、日頃からしっかり備えておきましょう。
卵は一つのカゴに盛るな
これは投資(特に株)の世界で有名な格言ですが、フリーランスにとっても同じ。万が一への備えとして、一つ(のパソコン・端末など)に集中させず、分散する心構えが大切です。
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